皮膚のかゆみ

かゆみ

湿疹

皮膚科を受診される患者様の30-40%を占める、最も多いお悩みです。赤いブツブツ・小さな水疱・粉をふく・ひび割れなどのさまざまな症状が入り混じります。自己流で治して逆に悪化させたり、諦めてほったらかしたりしている場合が多くみられます。

放置しても自然に良くなるケースは少なく、早めの受診をおススメします。保険で治療が可能であり、医師しか処方することのできない良質な薬を使用することができます。塗る量、塗る回数やタイミング、薬の止め方なども知っておくことが大切です。さらに病気によっては、ぬり薬だけでなく飲み薬を使わないと治らないものもありますので、専門医による正確な診断が重要です。さっと治して、気持ちよく快適に過ごせる日々を手に入れましょう。

乾燥肌(お顔・体・手)

肌が乾燥しやすい、乾燥して痒い、というのは「皮脂欠乏」という皮膚の病気のはじまりかもしれません。言うなれば黄色信号が出ている状態です。いろいろな研究から、近年「肌の乾燥」はさまざまな皮膚病の元凶になっていることが分かってきています。

乾燥肌や乾燥によるかゆみだけで皮膚科に行ったら、先生に怒られそう!などと誤解されていませんか?全くそんなことはありません。むしろ保湿による正しい肌のケアを行って、肌トラブルを未然に防いでおくことが重要であり、現在皮膚科の学会においても盛んに主張されています。クリニックにはお顔・体・手のすべてに使える万能とも言える保湿剤が存在しています安価で科学的に証明された良質な薬を用いて、保湿力を高め皮膚を乾燥から守り、健やかに保つことができます。

手荒れ

手荒れは主婦、飲食店員、美容師、機械などの作業員の方に多くみられます。別名主婦湿疹とも呼ばれますが、薬剤や洗剤によるかぶれや、水仕事により「皮脂」という皮膚を守る油分が過剰に失われてしまうことが原因と考えられます。仕事や生活スタイルを変えるのは難しいため、慢性的に繰り返しがちです。

病院に通っていてもなかなか治らないため、むやみに強い薬を処方されてしまっているケースもあります。本来、手の皮膚は他の体の皮膚よりも分厚く丈夫なのですが、逆に皮脂は出にくいため不足しやすく、上手にケアすることが必要になってきます。このあたりのコツに関しても詳しくお伝えして、当院では出来るだけ強い薬を使わないで済むようにコントロールしています。

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎は近年も患者数が増えており、20歳以下の10人に1人が患っているとも言われます。全身の湿疹が何度も何度も繰り返され、皮膚が乾燥(ドライスキン)するのが特徴で、とてもつらい皮膚病です。ぜんそく、花粉症、アトピー性皮膚炎などの家系の人にできやすい「遺伝」と、環境汚染やストレス、生活リズムの乱れなどの「環境」の両方に原因があるといわれています。

当院では、日本皮膚科学会の「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン」という、多数の皮膚科医によって科学的に正しい根拠をもとに作られた治療方針をベースとして、しっかりとした保険診療を行っていきます。さらに標準的治療でなかなか治らない方にも、工夫を凝らしたいくつかの治療法を準備しております。

例えば当院のナローバンドUVBによる紫外線治療では、1回1~2分の照射で長年悩んでいた「かゆみ」が劇的に改善するケースもみられています。
この治療法は保険適応であり、比較的安価で施術ができますが、このことを知らない患者様もたくさんおられます。かゆみでお悩みの方は是非一度ご相談ください。

水虫(足のかゆみ)

足の指の間がかゆい、皮が剝ける、かかとがガザガザになる、などの症状は水虫(白癬菌)が潜んでいる場合があります。しかし、一般ではあまり知られていませんが、実は菌は存在せず、ただ湿疹を起こしているだけのことも良くあるのです。このような場合は市販の水虫薬をいくら塗ってもかゆみは治まりません。さらに治療の難しいパターンとして、水虫と湿疹のどちらも同時に起こしてしまっていることも少なくありません。このような状態をしっかりと判断するため、皮膚科では顕微鏡で菌をきちんと調べて、皮膚の状態を確認しながら薬を使用していきます。

水虫かな?と思うときは積極的に検査と治療を受けましょう。なお、爪に水虫が入り込んでしまう爪白癬については少し治療が変わってきます。市販薬では一切販売されていない、爪専用の「塗り薬」または「飲み薬」が必要となりますので、ご相談ください。

じんましん

蕁麻疹(じんましん)は、皮膚が蚊に刺された時のように腫れ、同時に強いかゆみが出現する病気です。発疹は小さなものから地図状に広がるものまで様々です。そして数分~数時間で消えて、また新たに出現するのを繰り返します。蕁麻疹というと、ほとんどの方が「何かのアレルギー(とくに食物の)では?」と思われることが多いのですが、実は原因の分からないものが全体の約70%を占めています

一方で明らかなアレルギー性のものは全体の約数%程ともいわれています。原因となるものは想像以上にさまざまであり、それらが重なって起きている場合もあります。ですので皮内反応や採血等の検査も施行することはできますが、基本的に原因を特定するのは困難です。ただし治療法に関しては、ガイドラインと呼ばれるしっかりしたルールも出来上がってきており、飲み薬によって体の内側から発疹が出てくるのを効果的に抑えることが可能です。

ふけ・頭皮のかゆみ

ふけ症で悩んでいる方は実にたくさんおられます。私自身、皮膚科医となる前は十分な知識がなくふけに悩まされた時期があります。これらの症状は、実は頭皮が長い間湿疹の状態となっているために起きているのです。また頭皮で悪さをしてふけを増やす原因となる細菌がいることも分かってきました。

健康保険で使用可能な処方薬をうまく使い、さらに洗髪等で大切なポイントをしっかり押さえて生活できるようになると、ふけは劇的に改善します。自分自身が経験していることもあり、自信を持っておすすめすることが出来ます。ふけ、頭皮のかゆみでお悩みの方は、是非ご相談ください。

乾癬

乾癬(かんせん)は、赤く盛り上がった皮膚の上に、白くガサガサした粉が積もったような発疹が、頭や肘、膝をはじめ全身のどこにでも出現する病気です。爪にも変形を生じます。また関節症状(関節痛など)を伴うものは関節症性乾癬と呼ばれます。

発疹や発疹から剥がれ落ちる鱗屑(りんせつ:粉状の皮膚)は非常に目立つため、患者さんの深刻な悩みとなります。乾癬は「治らない病気」という説明をお受けになった方もおられると思います。確かに完治は困難ですが、現在は「コントロールできる病気」になってきています。

当院では外用薬としてステロイド、ビタミンD3を使用し、紫外線による光線療法を行うことができます。重症の方にはレチノイドやシクロスポリンの内服も行っています。それでも治療に反応しない、または関節炎を伴っているような場合には、非常に効果の高い「生物学的製剤」の使用が出来る専門施設への紹介を行うことも可能です。

掌蹠膿疱症

手のひらや足の裏に膿疱(うみをもった発疹)が生じて慢性的に経過していきます。通常は菌が原因で膿(うみ)が出来るのですが、この病気は菌とは関係なく、手のひらや足のうらに膿疱がどんどんできる病気と考えてください。現在のところ原因は不明ですが喫煙者に多いとされています。

欧米では、乾癬の類縁の病気とする考え方がありますが、日本では病巣感染や金属アレルギーを原因として重視する考え方が主流です。専門医が見れば特徴的な発疹から診断できますが、水虫の検査や皮膚の一部を取って調べる検査(皮膚生検)を行うこともあります。

また、金属アレルギーの検査を行って、陽性であれば歯科金属の除去を考えることもあります。治療法はステロイドの外用、レチノイドの内服、シクロスポリンの内服、紫外線療法などがありますが、短期間での根治は難しいです。当院でも、やはり難治な症状の方はおられますが、私なりにさまざまな工夫を加えて治療を行っており、長年の症状が改善される方も出ております。特に私が研修を受けた施設で専門的に行っていた紫外線療法(健康保険が使えます)と、併せて薬の上手な使い方のコツなどもお知らせしております。

アレルギー性皮膚炎

アレルギーとは?

ウイルスや細菌の侵入で風邪を患うと、身体の防御システムである免疫力が抗体を作って抗い、その過程で咳や発熱といった症状が現われます。

しかし、ウイルスなどの病原体ではなく、日常の生活環境に存在する「食物」「カビ」「ダニ」「ホコリ」「花粉」「動物(体毛)」といった本来病原性のない物質、「アレルゲン(抗原)」が引き金となって免疫力が働き身体に過剰な反応(抗原抗体反応)を引き起こすことがあります。この反応が「アレルギー」です。

アレルギー性皮膚炎

アレルギー性疾患というと花粉症や鼻炎、湿疹などを思い浮かべる人も多いと思われますが、実はその影響は身体の幅広い領域に及びます。

  1. 皮膚科ul領域
    《蕁麻疹、湿疹、結節性紅斑、接触性皮膚炎》※アトピー性皮膚炎
  2. 消化器疾患
    《口内炎、アレルギー性胃炎、アレルギー性腸炎、腫瘍性大腸炎》
  3. 呼吸器疾患
    《花粉症、気管支炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎》
  4. 循環器疾患
    《狭心症、心内膜炎、結節性動脈周囲炎、閉塞性動脈内膜炎》
  5. 眼科疾患
    《アレルギー性角膜炎、交換性眼炎、フリクテン》

その他、リウマチ様関節炎や強皮症といった自己免疫性疾患(膠原病)を発症するケースもあります。こうしたアレルギー性疾患の多くは慢性の経過をたどり、治療には長期間を要します。また、気管支喘息とアトピー性皮膚炎を併発することも少なくないとされています。

当院の専門領域である上記①の皮膚科疾患で示したのがアレルギー性皮膚炎の症状で、アレルゲンとの接触で直接反応がなくても光が当たることで発症する光触媒皮膚炎もそのきっかけは同じです。

また、アトピー性皮膚炎に〈※〉印を付しました。アレルゲンも確かに要因の一つになりますが、その他にも肌の悪玉常在菌、過酸化脂質、大気汚染、生活環境などさまざまな要素が引き金となる多因子性の疾患であることから、アトピー性皮膚炎自体はアレルギーとは異なる扱いをしています。

アレルギー性皮膚炎の検査・治療

症状の程度にかかわらず、湿疹などの症状が認められた場合にはまず皮膚科への受診に心がけてください。

アレルギー性皮膚炎の治療にあたって大切なことは、検査による発症アレルゲンの特定と排除、そのうえでの適切な治療方法の選択ということになります。検査の基本は視診と問診で、患部の形態的な特徴を観察し、患者さんの生活の背景やご家族の病歴などを知ることで重症度と原因を推定することができます。さらに、パッチテスト、プリックテスト、特異的IgE抗体検査、皮膚生検、リンパ球幼若化試験などを行うことで悪化因子を特定するケースもあります。

アレルギー性皮膚炎では対症療法による症状の軽減を図ることが主体となります。ステロイド外用薬の塗布のほか、抗ヒスタミン・抗アレルギー薬の内服が代表的ですが、ステロイド外用薬の強度もⅠ群からⅤ群までのランクがありますので、医師の的確な診断のもとでの選択が重要になります。また当院では、食事や運動などの生活習慣や肌に悪影響を及ぼすストレスの解消、肌のバリア機能を整えるスキンケア等による症状の改善アドバイスも行っております。

TOPへ